琅琊榜

毒蛇10 『结发』 (『琅琊榜』 #25 補完)

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毒蛇 その10です。

 森を散策したいと、翌朝、梅長蘇が言った。
 「昨夜の雨が嘘のように晴れておりますゆえ」
 「しかし、そなた、身体が」
 昨夜の憔悴ぶりを思う。
 しかも、あのような話をされては―――。
 ためらう誉王に、梅長蘇は微笑んだ。
 「お気に召されますな。前の晩に具合が悪かったからと言っていちいち大事をとっていたのでは、動ける日とてありませぬ。ただ、その……」
 口ごもった梅長蘇に、誉王は少し首をひねった。
 「なんだ?」
 「また、昨日のように、殿下の前に乗せていただかねばなりませぬが……」
 心持ち目をそらせた梅長蘇に、誉王は思わず破顔した。
 「そんなことは気にせずともよい。だが先生……」
 誉王は梅長蘇の貌を覗き込んだ。
 「そなた、馬は嗜まぬと言うておられたが、そうではあるまい?」
 言うなり、梅長蘇はばつが悪そうな顔をした。
 「殿下の目は誤魔化せませんね」
 図星であったらしい。
 「いくらかは心得がございますが……、昨夜のような雨風の中では心もとなく、殿下のご厚意に甘えてしまいました」
 恐縮する梅長蘇の肩を、誉王は優しく叩いた。
 「それは構わぬが。わたしと相乗りが気兼ねならば、今日はご自分で乗られるか? 身体の具合さえよければだが」
 「よろしいので?」
 そう言った梅長蘇は、どこか嬉し気であった。




 「蘇先生。そなた」
 誉王は言葉を切った。それから、こらえきれずに笑う。
 「そなた、存外……」
 梅長蘇は俄に不機嫌な顔つきになった。
 「おっしゃらずとも自分で心得ております。大雑把で不器用なたちと」
 昨夜ほどいてしまった髷を結い直さねばならず、梅長蘇が誉王の髪を結おうとしたのだが。
 ほっそりと長い器用そうな指は、もう随分長いこと誉王の髪と格闘しているのに、到底埒があきそうになかった。
 「すまぬすまぬ。そう膨れるな」
 誉王は梅長蘇を手で制して、自分で器用に髪を結い上げた。そして、梅長蘇を手招きする。
 「そなたとて、そのままでは出かけられまい」
 結ってやろうと櫛を掲げて見せると、梅長蘇はわずかに顔を背けた。
 「殿下のお手を煩わせるわけには参りません。自分でできますゆえ」
 誉王は盛大に吹き出した。
 さっきの手つきでは、とても自分の頭を結えるとは思えぬ。
 「よいから任せよ」
 重ねて言うと、梅長蘇はしぶしぶそばへ来て座った。
 櫛で丹念に髪を梳いてやりながら、誉王の胸には嬉しさと切なさが去来する。いまこの時の満ち足りた思いと、やがてこの日々が失われると知った哀しみと。
 少しでも長く、この男と共に過ごし、語らいたい。
 今朝の梅長蘇は元気で、昨夜の告白は夢であったかと誉王は疑わずにおれぬ。それでも、梅長蘇の青白い肌と細いうなじ、薄い肩を目にすれば、いやでもそれを信じぬわけにいかぬのだ。 
 そんな重苦しい気分を振り払うように、誉王は己が声を励ました。
 「先生は常々地味なお好みだが、少しは髪型なりとも凝ってみてはいかがか」
 姿かたちが美しいのだ。華やかに装って何が悪かろう。
 「謀士が見目にこだわったとて何になりましょう」
 そう言って梅長蘇は仏頂面をしたが、誉王はとりあわず、鬢の髪を幾筋も細かく編んで束ねた。
 初めてにしては上出来だと、誉王は自分の手際に惚れ惚れする。梅長蘇はきまり悪そうに鏡を覗き込み、しきりに気にして鬢のあたりに触れていたが、観念したように息をついた。
 「よく似合っている。なに、遠目には常とそう変わらぬゆえ、恥ずかしがることはない」
 さあ、参ろう、と誉王は梅長蘇の手を取って立ち上がらせた。





 雨上がりの道がすがすがしい。
 木々のこずえが幾重にも日差しを遮る辺りは、まだだいぶぬかるんでいたが、馬が足を取られるほどのこともなかった。
 馬上で、梅長蘇が『孫子』の「謀攻篇」と「用間篇」の一部を諳んじる。 
 「流石であるな、先生」
 馬の手綱を操る梅長蘇は、木漏れ陽を浴びて美しかった。馬を御する技はなかなかどうして立派なもので、身体が丈夫でさえあったなら、一軍を率いてその兵法の知識を余すところなく発揮できるにちがいなかろうと、誉王は思った。
 梅長蘇はすこし面映ゆげに微笑して、軽く手綱を引いた。
 「兵をおこして刀や槍で戦うことは易うございますが、それすなわち国力を消耗せしめるにほかなりませぬゆえ。『百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり』と……、殿下?」
 ぼんやり見惚れていた誉王を、梅長蘇がいぶかしむ。
 「あ、いや。続けて構わぬ」
 慌ててそう言ったが。
 「そのようにしげしげとご覧になられては、喋り辛うございます」
 心なしか口をとがらせた梅長蘇が妙に子供じみて見えて、誉王は笑った。
 「いや、……楽しそうだと思うてな」
 「え?」
 虚を衝かれたように、梅長蘇がわずかにぽかんと口をひらいた。
 「馬に乗るのも、兵法を語るのも、いかにも楽しそうゆえ、眺めているわたしまで嬉しくなる」
 「……」

 実際、これほど機嫌のよい梅長蘇を見るのは初めてだと思う。いつも慎ましく微笑んではいるが、どこかその心の内ははかり知れぬところがある。今朝の梅長蘇は、屈託がないように見えた。
 が、誉王の言葉に梅長蘇はわずかに眉を寄せた。
 「おからかいになるなら、もう帰ります」
 梅長蘇が馬首を巡らせ、軽く馬の腹を蹴る。誉王は慌てて後を追った。
 「待たれぬか」
 追いついて肩を並べながら、誉王は梅長蘇の貌を覗き込んだ。
 「怒ったのか?」
 梅長蘇は顔を背けた。
 「蘇先生?」
「怒ってなどおりません」
 向こうを向いた梅長蘇の耳元が少し赤い。照れているのだと気づいて、誉王は笑いを噛み殺した。
 「すまぬ。嬉しくてつい」
 「なにが嬉しいのです」
 梅長蘇が半ば振り返り、軽く睨んでくる。誉王は微笑した。

 「そなたにはわかるまい」
 友と轡を並べて歩く、ただそれだけのことが誉王にとってはこの上もなく新鮮なのだ。
 「蘇先生」
 誉王は声音を改めた。

 「もう一日、延ばせぬか」
 馬を寄せて、誉王は低く囁いた。
 しかし。
 「一日延ばせば、さらに去りがたくなりましょう」
 にべもなく、梅長蘇がそう答えた。
 それでも、『去りがたい』とこの男も思ってくれるのだと思うと、誉王の胸が熱くなる。

 また権謀術数渦巻く宮廷へ戻るのだと思うと、この安らぎを知ってしまった今となってはひどく気ぶっせいだった。
 (だが……)

 梅長蘇には、時がないのだ。
 一日の遅れが取り返しのつかぬことにならぬ間に、いま皇太子を叩いておかずして何とする、と誉王は気持ちを引き締めた。

 東宮となって、梅長蘇を安心させてやりたい。

 いまはただ、それだけを願った。
 


   * * *




 蘇宅へ戻るなり、黎綱と甄平があれこれ世話を焼きたがった。
 「お疲れでしょう。すぐに横になられますか」
 「昨日はひどい雨でしたが、まさかぬれたりはなさいませなんだろうな」
 「薬湯をお持ちしました。早く飲んでください」
 かわるがわる纏わりついてきて、梅長蘇はすっかり閉口した。
 「よいから仕事に戻れ。わたしなら大丈夫だ」
 犬でも追い払うように手をひらつかせると、二人はしぶしぶ出て行った。

 飛流は少し離れて、不思議そうに首を傾げながらじっとこちらを見ている。
 「どうした、飛流? おいで」
 いつになくおずおずとした様子で、飛流がそばに来る。まるで拾って来たばかりの子犬のようだ。甘えたい反面、警戒している。
 その他人行儀な態度に、梅長蘇は笑った。
 「一日会わぬと蘇哥哥の顔を見忘れたか?」
 飛流は上目づかいに梅長蘇を見た。
 「蘇哥哥、……髪」
 鬢のあたりを指さす。
 「ああ、これか」
 ようやく梅長蘇は気づいた。
 髪型が違っているのだ。
 梅長蘇はおもむろにかんざしを引き抜いて、髷を解いた。黒髪がこぼれる。

 鬢の細い三つ編みを苦労してほどくと、細かく髪が縮れていた。
 「うねうねになってる」
 不思議そうに、飛流が縮れた髪に触れる。
 「……みっともないな」
 そう言って笑うと、
 「ううん、可愛い」
 大真面目な顔で飛流はそう言い、それからもう一度しげしげと髪を見て、満足そうににこりと笑う。
 梅長蘇は鼻白んだ。
 「……可愛くなどあるものか」
 飛流の額をコツンと小突いて、
 「黎綱か甄平を呼んでおいで」
と命じる。

 飛流が出ていくと、ほどなく黎綱がやってきた。梅長蘇の頭を見るなり、
 「ほどいておしまいに?」
とすこし残念そうな顔をする。それには知らぬふりで、梅長蘇は言った。
 「いつも通りに結い直してくれ」
 こっそり肩をすくめた黎綱を軽くにらんで促す。しかたなさそうに黎綱は梅長蘇の後ろに座った。
 「せっかくお似合いでしたものを」
 髪を束ねながら、不服そうに声で黎綱が言う。梅長蘇は眉をひそめた。
 「……無暗に細かく編んであったゆえ、鬢が引き攣れて頭が痛くなったのだ」
 そう言うと、黎綱が慌てたそぶりを見せる。
 「頭が痛く? それはいけません。すぐお寝みになりますか」
 梅長蘇は顔をしかめた。とんだ藪蛇である。
 「……それほどでも、ない」
 黎綱が小さく吹き出した。
 「黎綱、そなた……」
 「いえ、なんでもありません」
 からかわれたのだと気づいて、梅長蘇は赤くなった。




 誉王はあれ以来、ますます精力的に皇太子と競い合っている。目下の争いの焦点は、巡防営を誰が差配するか、である。
 日々繰り返される皇子たちの諍いに、皇帝はさぞかし頭の痛いことだろうと、梅長蘇はひとり苦笑いした。
 いずれ、景琰のもとに、漁夫の利が転がり込む。筋書き通りではないか、と思う。
 誉王が梅長蘇の為に躍起となっている間に、景琰は着々と父皇の信頼を得る。
 哀れな誉王。
 切なさに、梅長蘇は目を伏せた。 









 厳しい顔つきでで、誉王は梅長蘇の私房へ踏み入ってきた。皇帝が景琰に巡防営を預けたというのだ。
 そんなことは百も承知だ。そう転ぶように手を尽くしてきたのは、ほかならぬ自分なのだから、と梅長蘇は心中思う。
 誉王は腹を立てている。自分のために焦ってくれているのだと、梅長蘇はよくよく承知していた。
 が、殊更に落ち着きはらって見せる。
 「靖王が指揮を執ってはいけませんか? 公正ですし、殿下との関係も良好だ。皇太子にはつきません」
 微笑さえ浮かべて見せてやる。それでも誉王は渋面を崩さない。
 「奴が以前の靖王なら問題ない。だが……」
 そこまで言って、誉王は言い淀んだ。忌々し気に息を吐きだす。
 「最近、靖王の存在感は無視できぬ」
 慶国公の事案以来、皇帝の信頼が増し、重臣や新しい官吏たちも靡いている、と誉王はいう。
 (さすがに誉王の目は節穴ではないらしい)
 梅長蘇は苦笑したくなる。
 誉王は般弱に対してもひどく失望して不機嫌だ。さもありなん。このところ、般弱の配下をじわじわと切り崩しているのは、ほかならぬ江左盟である。
 誉王は憤りを吐き散らした。
 父皇の今の靖王への肩入れしようは、まるでかつて自分に対してそうであったかのようだと、要するに誉王は、靖王に嫉妬しているのだ。長い間、父からの寵愛を欲しいままにしてきた誉王が、これまで冷遇され続けた靖王に、である。
 梅長蘇は微笑して、やんわりと誉王をたしなめた。皇帝は皇子たちの均衡を図るために靖王を引き立てるのである。謝玉を失った皇太子を、誉王が追い詰めすぎたゆえであると。
 「最近、寵愛が薄れたのでは?」
 この言葉の一刺しに、どれほどの効果があるか、梅長蘇はよくわかっている。忽ち顔を曇らせた誉王に、さらに説く。己独りの力で一国の皇太子の翼を負った誉王を、皇帝が警戒しないはずはないと。
 誉王は眉間に皺を寄せて聞いていたが、賢明にも波立つ心を抑え込んだようだ。居ずまいを正し、まっすぐ梅長蘇を見る。
 「焦りすぎたようだ。挽回する方法はあるのか?」
 梅長蘇はすいと目をそらせた。
 「あまり慌てぬことです」
 皇太子は、皇帝が自ら見限る形で廃されねばならない。誉王が追い落としてはならぬのだと言い聞かせる。

 哀れにも。
 誉王はしぶしぶ納得した。 
 なまじ聡いばかりに、事を分けて話せばその理を受け入れてしまうのが、この男の弱点かもしれぬ。
 
 帰ろうとする誉王に梅長蘇は、天泉山荘には手を付けぬようにと釘をさした。せっかく苦労して誉王の翼をもぎ、牙を抜き、爪を折ってきたのだ。ここで新たな手足を与えてはならぬ。
 第一―――。
 (また天泉山荘を巻き込んだのでは、景睿にあわせる顔がない)
 梅長蘇は内心そうひとりごちた。

 せっかくまだ役に立つ卓家をなにゆえ利用してはならぬのかと問う誉王に、梅長蘇は言った。
 「わたしがいれば、江湖を案じることはない」
 そう微笑んで見せると、誉王は忽ち相好を崩した。
 「それもそうだ」
 訪れたときの憤懣やるかたない顔つきからは、想像もできない笑顔だ。

 これほどまでに信じてくれるこの男を。
 自分はどうしても、ひねりつぶさねばならぬのだろうか。
 梅長蘇の胸に、こみあげてくるものがある。
 
 「もしも」

 歩き始めたその背に、つい声をかけてしまった。
 「ん?」
 足を留め、振り返った誉王の顔は優しい。
 梅長蘇はためらった。己が何を言おうとしているのか、自分でもさだかにわからなかったからだ。それでも、言わずにおれなかった。 

 「もしもわたしが、皇位への野心など捨てて、共に……、たとえば紀王殿下のごとく、のんびり隠棲しましょうと申し上げたら……、殿下はいかがなさいますか」

 なんと愚かな問いかけだろうかと、梅長蘇は自分に驚きあきれる。
 誉王の目もまた、すこし見開かれた。
 心持ち眉をひそめ、誉王はじっと考えるふうであった。
 が。

 「好。それも悪くない」
 ふっと誉王の目元が和む。
 「そなたと悠々自適に暮らせるなら、それが一番であるやもしれぬ」

 息が、止まりそうになった。誉王の口からそんな言葉を聞こうとは。
 「まことですか?」
 自分の声が、ぶざまに震えている。
 誉王は目を細めて微笑んだ。
 「うむ。先生が、ずっと変わらぬ友情を以て、長く共に過ごしてくれるならば、……煩わしい政になど未練はない」

 ずっと変わらぬ友情を以て、長く共に……。

 梅長蘇は、奥歯を噛みしめた。
 己の命の短さを、これほどまでに口惜しく思ったことはない。
 自分に時がありさえすれば。
 誉王を破滅に追い込まぬまでも、景琰の邪魔にならぬよう、生涯抑え込むこともできように。
 赤焔軍の汚名を晴らしたのちは、景琰に政を委ね、自分は誉王の枷となって生きてもよいと思う。
 けれども。
 自分にそれはかなわぬのだ。

 「愚かなことを申しました。殿下のおそばにいてさしあげることもできぬ身で」
 「蘇先生」
 自分を失ったあとの誉王が、それでも一生隠遁生活に耐えられるとは、とても考えられなかった。 たとえ誉王自身にその気がなくとも、渠を担ぎださんとする者らが、いつか必ず現れる。

 やはり、誉王をこのままにはしておけぬのだ。
 
 「―――死にたく、ありません」
 「先生?」
 気づかわし気に覗き込む目が、優しい。それがつらかった。

 「死などさほど恐ろしいとも悲しいとも、思ったことはございませなんだものを」
 「……」
 誉王の手が、肩に触れようと差し出される。梅長蘇は後ずさって、それを拒んだ。その手で慰めてもらってよい自分ではない。 

 ただ……。

 「死ぬのが口惜しゅうてなりませぬ」
 「先生」

 悔しかった。
 己の命の短いばかりに、誉王を完膚なきまでに叩かねばならぬ。

 「覚えていてくださいませ」
 梅長蘇は言った。
 「たとえいつの日か、殿下にお仕えすることができなくなろうとも、殿下と過ごしたこの時を、わたしがどれほど慈しんだことか。殿下から頂いたお情けを、どれほど嬉しく思ったか」

 己でもしかとは気づかなかった本音であった。
 
 
 「いま、この時の仕合せを、この蘇哲は彼岸まで持ってまいります。されど……」
 梅長蘇は目を閉じ、大きく息を吸った。それを長々と吐き出して、心を鎮める。

 「今度生まれてくるときには、……もっと長うお仕えしとうございます」
 
 そうだ。
 この次生まれてくることあらば、まことの友の契りを交わしてもよい。こんな身も心も裂かれるような思いをして欺き続けるのは、今生だけで充分だ。

 「わかっている。わかっているとも」
 幼子をあやすように、誉王が言った。

 梅長蘇は更に一歩さがる。

 「いいえ。いつか必ず、殿下はこの梅長蘇をお怨みになる。それゆえ、いま申しておくのです。どうか。……どうか、お忘れくださいませぬよう」

 どれだけ心を鎮めようとしても、声が震えてならなかった。
 
 「わかったわかった。忘れはせぬゆえ、落ち着かれよ。今日の先生はどうかしている」
 
 情けない。
 淡々とあしらって帰すつもりであったものを。こちらのほうが取り乱してしまうとは、と梅長蘇は愧じた。

 力を振り絞って、梅長蘇は微笑を浮かべた。
 「戯言です。お気に留められませぬよう」
 そう言うと、誉王は苦笑を返して、梅長蘇の肩に大きな手を置いた。

 「今生も、来世も、そなたはわたしの最愛の友にほかならぬ」  

 
  *


 「誉王は訪れるたびに長居していきます」
 誉王が去ったあと、不満そうに、黎綱が言った。

 自分が引き留めたのだとは、とても言えぬ梅長蘇であった。






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~ Comment ~

>>鍵コメ様

コメントありがとうございます!!
反応があるのって、本当にすごくすごく嬉しいです。

琅琊榜にハマってらっしゃるのですね!! (・∀・)人(・∀・)ナカーマ
本当にどこをどうとっても素晴らしいドラマですね!!!

実はですね、わたしも誉×蘇についてはほんの冷やかし半分の気持ちで始めたのですw
わたしの本命馬(?)は、藺×蘇 なので・・・・ww
でも、書きだすとこれがまた、なかなか面白くて(笑)。
つい、長々とやっております(笑)。

今後も覗いていただけるとホントに嬉しいです♡
コメントどうもありがとうございました(^^)

Re: NoTitle

わあ、ありがとうございます(笑)
既に「毒蛇」シリーズ含めて24個置いてる作品中、
実は藺晨の出てるお話はいまいちアクセスが少ない感じなんです。
最初にパパッとアクセス数が伸びたのが、
やっぱり靖王を出したお話・・・・。
わたし自身は、景睿との話や、蒙大統領との話も書いてて楽しかったです。
でも、藺晨・飛流を出すのが一番好きかな♡
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